SGLの特徴

次世代ガルバリウム鋼板「SGL(エスジーエル)」
─プロのための実務ガイド─
次世代ガルバリウム鋼板
「エスジーエル(SGL)」とは
次世代ガルバリウム鋼板
「エスジーエル(SGL)」とは
SGLは、従来のGL(ガルバリウム鋼板:Al-Zn合金めっき)にMg(マグネシウム)を添加したことで、切断端部や傷部での保護皮膜形成が進みやすく、端部腐食の進行を抑制することが大きな特徴です。
複合サイクル試験においても、GLに比べて優れた耐食性が確認されており、厳しい環境での長期利用に適しています。
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SGLが特に効果を発揮するのは以下のような環境・納まりです。
- 沿岸部や工業地帯、融雪剤が散布される地域
- 役物の取り合いや貫通部が多い施工
- 風雨の吹き上げや水はけの悪い納まり
塗装済みのSGL(プレコート鋼板)では「原板穴あき25年保証」など、長期保証を前提とした製品も一般的になっています。
※保証条件は各製品仕様に準拠してください。

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「何年持つのか?」という問いに対しては、環境・板厚・塗装グレード・納まりによって大きく変動します。
SGLはGLに比べて耐食性が改善され、再塗装周期や穴あき保証の延伸に繋がっています。
重要なのは「材料寿命=仕上げ寿命ではない」という点です。
- 雨仕舞設計
- 清掃・点検周期
- 副資材(ビス・シール)の選定
これらとセットで保全計画を立てることが、長寿命化の鍵になります。
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錆に強く、耐久性が高いため幅広い建築用途に活用できます。
初期単価ではGLとほぼ同等〜やや高めのケースが多いですが、“保全コストを含めたトータルコスト(TCO)”ではSGLが有利になるケースが目立ちます。
特に、
- 「沿岸×大規模屋根」
- 「積雪・融雪剤の影響が大きい地域」
では、初期差以上にメンテナンス費(再塗装・足場費・休工リスク)の差が効いてきます。

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現場で失敗しないためのSGL施工の要点です。
- サンダー等による高温切断は避け、切粉やバリを確実に除去
- 水たまりを生む納まりは厳禁。雨仕舞で排水性を確保
- 異種金属接触は絶縁材を介在(銅・鉛・未めっき鋼などは特に注意)
- シーリングは酸性硬化系を避け、中性または変成シリコーンを使用
- 保管は濡れ置きNG。必ず通気を確保し勾配をつけて保管
SGLは「GLを進化させた、端部に強い鋼板」と言えます。
特に厳環境下での長期耐久性が求められる案件では、TCOの観点からも有力な選択肢となります。
適材適所でSGLを選び、副資材・納まり・保全を含めたトータル設計を行うことが、長寿命かつ安全な施工の鍵です。